高専の時代のスウェーデン留学について

 

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クリスマスは山へツリー狩りに

後輩の@keihigu氏が誘ってくれたので,研究留学 Advent Calendar 2017 (研究以外の留学経験も可)15日目

皆さま,研究留学の貴重なお話をたくさんされているので,私は高校(高専)留学の話を中心に今の研究生活にどう繋がっているかを書きたいと思います.

  • いつ行ったか: 2001年8月-2002年7月
  • どこに行ったか (組織など): Nobelgymnasitiet, Karlstad, SWEDEN. (American Field Service; AFSを通じて)
  • 何をやったか: ホストファミリーと一緒に暮らし,普通の(工業)高校生活
  • どうやって行ったか: AFSにアプライし,試験を受けて.

ちなみに研究者としても海外勤務もしています.

  • いつ行ったか: 2013年2月-2014年9月
  • どこに行ったか (組織など): Disney Research Pittsburgh, Walt Disney Imageneering
  • 何をやったか: HCI, Digital Fab 関する研究,開発
  • どうやって行ったか: 2012年10月頃にアプライ→2013年2月にオファー

なぜ高専時代の海外留学の話をしようかと思ったかというと,

  1. 楽しかった.
  2. 最近海外いく研究者減ったな
  3. 研究だとアメリカ,イギリス,あるいはEU圏あたりが多いだろうから違うところを
  4. 1歳10ヶ月の自分の娘が大きくなったときに参考にしてほしい

ということを思ったからであります.なので,私がそのとき学んだことを中心に.


  1. スウェーデン留学
  2. スウェーデンの働き方
  3. 隣の芝は青い
  4. その後

1. スウェーデン留学

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AFSは世界規模の組織なので,同じ地域にいろんな国からの留学生がいて楽しかった.

まず,私がスウェーデンに留学したのには,通っていた豊田高専が日本で一番高校留学生を輩出しているという背景があります.高専は5年制なので,進学校のように「留年したら大学いけないぞ」というような脅しもなく,「1年くらい留学行っても余裕」という環境でした.実際同じクラスから5,6人ほど留学で留年するというのは珍しくなく,毎年そうなので,クラスの人数も増減がない(新しく行くと去年行った人が帰ってくる).それぞれ,アジア,北米,南米などに行っていました.

もともとは特に留学に興味もなく,むしろなんでせっかく高専にいるのに,ものづくりしないで留学行かなきゃいけないのかな?まぁ,でも留学行けるなら行こうかなくらいで思っていた私でしたが,姉の「バカか,視野広げてこい」的なプッシュもあり,AFSに申し込みました.

どうせ行くなら普段あまり関わりのない国に行きたいな,という安直な考えで北欧かなと思ったわけです.

ここでスウェーデンの基本情報:

スウェーデン王国 Konungariket Sverige
言語: スウェーデン語(なにそれ!)
人口: 約960万(東京より少ない)
面積: 約450,000km²(東京23区の約730倍)
人口密度: 20人/km²(東京23区 15,104人/km²)

つまりめちゃくちゃ人少ない工業国なんですが,それでもボルボもあるしサーブもあるし,というような国です.人々の雰囲気は映画「ドラゴンタトゥーの女」(ダニエルクレイグ版)を見てもらえばあんな感じ.

ちなみにスマホもなけりゃ今よりも通信しずらい時代だったので,せっかくなので,あえて日本断ちして過ごしていました.

2.スウェーデンの働き方

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フィンランド&エストニア演奏旅行.教会の楽団に所属していたので,いろんなとこ行ったり色んな知り合いできた.

 

スウェーデンには高校留学だったので,働いてはいません.普通に高校通って勉強して,教会の楽団で演奏して,湖でヨット乗って,凍ればスケートして,道でインラインホッケーして遊んでました.スウェーデン語大変だったとか,そこらへんを書き出すとキリがないので,ホストファミリーの生活を通して感じた,今思うスウェーデンでの働き方について.

まず超男女平等なので,夫婦共に働いている場合が多いけど,興味深いのは,気候が良ければ湖で老若男女問わずいきなり裸になって飛び込んだりするところ.昔は(いまだに)そういう様子を日本のメディアはこういう「軽い」,「ヤレる」みたいな知性のかけらもない記事にしたりしてますが,要するに男女が本当の意味で平等で,パートナー同士がお互い大切にしあっている国だと思います.むしろ堅いくらいです.

また,よくフィンランドの教育とか,スウェーデンの福祉社会とか日本でも言われますが,北欧は基本的にのんびりしています.寒すぎる&暗すぎるから家から出たくない,だからITが進化するし,人少ないからできることも多い.例えば私が住んでいたKarlstadなんかはスウェーデンの中では大きなほうだけど,日本と比べたら圧倒的にこじんまりしてるから,働く場所の近くに家を持っていたりするので,やっぱり通勤には時間かからない.ちょろっとお昼ご飯食べに帰ってきたりする家庭もある.冬は登校は日の出前だし,下校は日没後(4時間くらいしか日が出てない)みたいな環境なので,春になるとみんな休みをとって1ヶ月くらい南に行ってバケーション.なので働き方は環境的にそういうスタイルにしている,という印象が強かったです.冬場金属さわれないくらい寒くて太陽でないような気候になれば,多分日本の労働環境も大分変わるんじゃないかな,と.

3.隣の芝は青い

 

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ストックホルムの素敵な街並み

また,スウェーデン滞在中にテレビで日本のことをやると,ホストファミリーが「日本のことやってるよ」と教えてくれたのですが,よくあるのが「なんで日本はこんなに税金が安いのに,こんなに社会サービスが充実しているのか」という,あれ?と思うような番組.日本だと「スウェーデンの福祉はすごい!」みたいなのがあるけど,立場が逆だと味方も違うんだな,と.

スウェーデンでは高い税金のおかげで教育費用無料だし,いろんな支援もすごい.だけど,スウェーデンの人からすれば,どうせ税金で貧富を調整されると思うと頑張る気も起きないし,という考え方の人も一定数いる.高校でもペンからノートまでタダで配られるくらい無料だけど,「これなら自分の好きなの買ったほうがいいな」と思うことも良くあった.

ちなみに留学中にに9.11だったので,スウェーデンついてまだ言葉勉強中でニュースも何言ってるかほぼわからず,最初本当に映画だと思いました.

4.その後

とまぁ,多感な高校(高専)時代にこういう経験をしてなにが良かったかというと,やはり一番は,物の見方が非常に多角的になった,ということ.

私の好きな考え方にNeri Oxman先生のTHE KREBS CYCLE OF CREATIVITYという有名なものがあるのですが,この図でArtの部分というのが強くなるのが異文化交流とか,高校留学なのではないかと.これを鍛えられたのがスウェーデンでの生活だったのかなと改めて思うのです.

Behaviorに対してどういう見方でInformationを生み出すかは,ある意味天才的なひらめきがある人はいいかもしれないですが,「常識」とか「そういうものだから」というのに縛られて結構難しい部分だと思います.研究の方法論や技術といった知識として身につけやすいものとは違う,Art的観点を鍛えるには,世界にはこんな考え方がある,こんな生き方がある,こんな環境がある,というのをドップリ体験するというのが良いのでは,と思うわけです.オビワンケノービも「要は見方の問題だ」と言っていましたが,人と異なる見方をできるようにするには異なる環境で暮らすのも良いのでは,と.これはDisney時代にアメリカ人ロシア人,ドイツ人,イギリス人etcに囲まれて働いている時も思いました.

最近は,研究者が海外に行かないというのがニュースになってましたが,まぁ,理由は色々あるにせよ,機会があれば積極的に1年くらい住んでみて,研究だけでなく,文化的にもどっぷり浸かってみるのも,その後の研究者生活に資するものがあるのではないかなと思います.

今いる環境に思考が束縛されがちな時に,スウェーデンでの生活を思い出して別の観点から考えてみる,ということが結構いまだに活きているため,今回はちょっと毛色の違う「高校留学」について書かせてもらいました.

 

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