RoV: Real Oriented Virtuality

自動運転車が見ている「現実」を仮想空間で体感

vlcsnap-2016-02-29-20h55m04s265
ゲームプレイ中(助手席).安全に配慮し,手動運転によりテスト.

自動運転車両は安全な走行を実現するために,LiDAR,カメラなど多くの高性能センサを利用し,周辺環境を認識している.これにより得られるリアルタイム位置姿勢や,障害物などの情報を組み合わせ構築する「現実仮想化空間」での楽しく面白い体験を通じて,没入型ゲームをクリアしていくことで目的地に到着しているという,新しいドライブ環境を実現する.

高性能センサを搭載した自動運転車

自動運転を安全に実現するためには,周辺環境を高速,高精度に認識する必要がある.これには,現在走行している位置の把握,歩行者や他の車両,障害物などの物体の認識が必要で,そのために自動運転車両には多くのセンサを搭載している.

IMG_0134
Velodyne HDL-32. レーザにより測距.周囲360度ぐるっと計測できる.

例えばレーザで周辺の距離情報を360度計測できるLiDARや,人や信号の色などを認識するためのカメラなどが複数あり,自動運転車両はこれらのセンサの情報を統合し,事前に計測した高精度3次元地図情報を組み合わせることで,高精度位置姿勢情報や,人や信号など障害物などの状態を認識する.

Automation Surprise

これらの技術により安全な自動運転走行を可能にするが,一方で幾つかの問題がある.一つは,Automation Surprise である.これは,自動化されたシステムが正常に動作している場合,その動作意図が人に伝わらないと,動作に人が驚いてしまうという問題である.例えばロボットアームなどが正常に動作している場合でも,人に近づく方向で動いた場合,びっくりする,といった問題である.あくまでシステムは全てを正常に認識し,安全な範囲で動作しているにもかかわらず,それが人に伝わらない場合,人の判断で停止させるなどの措置が取られてしまう.人が乗っている自動運転車両でも同様の問題が起きると考えられ,最悪の場合,人の咄嗟の判断の結果が事故や怪我につながる可能性もある.

周辺状況を把握している必要

また,自動運転車両でも場合によって人の判断を求められる場合も考えられる.例えば目的地まで複数のルートが考えられ,費用や時間,距離などによって取りうるルートが変わるような場合,あるいは緊急時に人による操作介入を必要とする場合(*1) などがある.このような場合,自動運転とはいえ,乗員はある程度周辺状況を把握している必要がある.

Screen Shot 2016-02-29 at 19.17.27
自動運転車両は周囲360度を高速にセンシングできる.一方,人は…

RoV Engineによる現実空間をリアルタイムに反映した仮想空間

logo

そこで本研究では,自動運転車両が持つセンサから得られる高精度位置情報や障害物などの現実環境の情報を変換し,仮想空間で表現するという技術を研究している.仮想空間で表現することで,ゲームや映画のような空間が構築でき,また,情報を自由に変換することができる.

信号が赤だから止まる → 怪物が現れた!止まらなきゃ!

計測された周辺状況をもとに,自動運転車両は止まる,進む,曲がるを判断するが,そのもととなる状況をそのまま仮想空間へ反映させる必要はない.移動が目的である場合,移動を阻害するような状況,例えば赤信号や渋滞など,「止まりたくはないが止まらなくてはいけない」状況において,仮想空間では,ゲームなどを通じて「止まっていたい状況」に変換することが可能になる.

UnrealEngineをベースに仮想空間を構築

名古屋大学で開発中のオープンソース自動運転ソフトウエア AutoWare が認識する現実環境情報をリアルタイムに取得し,UnrealEngineをベースに構築した仮想空間でのゲームに反映させる.これにより,「現実環境を実際に走行しながら,仮想環境を体感」する.

スクリーンショット (1)
Unreal Engineを使用して仮想空間を構築.地形,構造物などは自動運転用高精度3D地図データをもとに作成することで走行可能な場所と自由にデザインできる部分を分けられる.

 

その時その場所その状況を仮想空間に反映,自在にデザイン

実際に車両から現実の振動や音が伝わり,仮想空間と同期することで,シミュレータや従来のVRシステムとは異なる体験が可能.実際に体を動かし,現実では体験できないインタラクションを体験できる.また現実環境でユーザが選択する必要があるシーン(ルート選択や休憩のタイミング)などは,仮想環境での選択を現実に反映させることもできる.


事前収録された点群データ(Point Cloud)内を走行.下を向くことで,車両から離脱した視点に.

デモの様子

 

本研究はJST ACT-Iの支援を受けています.


 

Interaction 2016 – Interactive 発表 Day3 [3A07]

2016.03.04

Advertisements